新しいアイディアを生み出すには<発想法>
なぜ発想法が必要か?
私たちの毎日の業務は決められたことをこなすばかりではありません。新たな商品を開発したり、新しい人事制度を導入したり、新しい販売促進策を考えたり、新しい事業を提案したり、といった創造的な作業も含まれています。業務時間全体の中で創造的な行為が占めるウエイトはさほど大きくはないかもしれません。しかし、その時間こそが付加価値を生み、あなたの仕事と他人の仕事と差別化を図り、ひいては企業が成長・発展する原動力になります。私たちが所属する組織が競合する組織との競争環境の中で生き残り、成長を図るには業務を変化させる発想力が不可欠であり、そのためには発想法が有効と考えられます。
発想法の技法・手法 ~発想法とは何か~
(株)創造開発研究所代表取締役所長の高橋誠氏(「問題解決手法の知識」)によると、米国の心理学者J・P・ギルフォートは創造性を構成する要素として、①問題への感受性、②思考の流暢さ、③思考の柔軟さ、④思考の独自さ、⑤再構成する力、⑥エラボレーション(具体化する力)の6つをあげています。一方、後正武氏(「論理思考と発想の技術」)は、発想や創造とは強制的に何らかのプロセスに当てはめて結論を導くものではないと述べた上で、古代ギリシアの哲学者アリストテレスの提唱した概念であるアプダクションについて触れ、これは「規範からの逸脱」という要請が内包されており、自由な発想を意味するのではないか、と語っています。決められた方法論に沿って思考していけば新しい発想が得られると期待しがちですが、発想が「規範や常識からの逸脱」なのであれば、その逸脱の仕方は一つに定まらないと考えるのが適切でしょう。
発想法の思考プロセス
発想法としての思考プロセスが固定的ではないとはいえ、新たな発想を生み出す視点はあります。簡単に言えば、発想とは「異質な要素を結びつけ、新たな意味を作ること」に他なりません。たとえば、よく知っていることをまったく別の観点で眺める、見慣れないものを良く知っていることに置き換えて解釈する、あるものから別のものを連想する、などが該当します。
ブレーン・ストーミングの生みの親であるA・オスボーン氏は、「創造力を生かす」の中で、別のものからヒントを得る(借用)、少し変化させる、拡大(あるいは縮小)する、ある部分を置き換える、配置を換える、反対を考える、結合させる等々のアイディアを生み出す考え方を紹介しています。これらも異質な要素を結びつけ、新たな意味を作る手法の具体的な例といえるでしょう。