人生100年時代、「やりがい」「能力発揮」を重視、仕事観が変化

人生100年時代の到来は「働きがい」を変える

2007年生まれの日本人の寿命は平均107歳と予測されている。人生100年時代は遠くない未来である。年齢層別労働力率(いわゆるM字カーブ)の谷はかなり埋まってきており、60代の労働力率も急速に上昇している。女性や高齢者の社会参画は近年大きく進展し、全ての世代が長い期間にわたり経済活動に参画するようになりつつある。子育て費用を確保するなど、家計維持の目的で仕事をする家族形成型ばかりではなく、若年層はもちろんのこと、働くことに生きがいを求める女性や高齢者も増えてきている。

「日本人の意識」調査(NHK 放送文化研究所)によると、自分にとって理想的な仕事としては、「高い収入が得られる仕事」が過去40年の間、横ばいに推移しているのに対し、「専門知識や特技が生かせる仕事」「世の中のためになる仕事」「仲間と楽しく働ける仕事」と回答する人の割合は緩やかだが増えてきている。

仕事に対する高次欲求の充足を求める人が少なくない中で、良い大学を出て大企業に就職して定年を迎えるという単線的な職業人生を前提としない若者もみられる。

経済目的以外の「働く意味」を求める

東京大学社会科学研究所の玄田有史教授は、都会で20代を経験し、30代以降は地方部に移り、活躍している人たちを「Vターン」と呼んでいる。大都市部にある巨大な企業組織は自分の力で動かすには時間もかかるし、限界もある。優秀で俊敏な若者ほどストレスや不満を抱えると玄田氏は指摘する。それに比べて地方は都会の大組織で一定期間働いてきて身につけた知恵や経験をフルに発揮するには格好の場といえる。たとえば、島根県海士町(あまちょう)には一流企業でキャリアを持つ若手が続々とIターン(出身地とは別の地方に移り住む、特に都市部から田舎に移り住むことを指す)で移住している。新しい仕事を作り、島の活性化に一役買うような人が、キャリアを投げ打って、やりがいを求めて集まっているのである。

ただし、このような場は地方部に限らない。例えば、一般に“スタートアップ”など小規模の企業であれば大企業と比べ、意思決定が早く、自律的かつ主体的に行動できる余地は大きいため、仕事を通じた充実感の獲得や能力の発揮は行いやすい可能性がある。

「お金を得ること」は、今後も働く目的の一つでありつづけるだろうが、経済目的よりも、働くことにやりがいや達成感といった、高次の欲求を求める傾向は今後ますます強まると思われる。

 

個人と企業の同時成長」へ続く

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