あれかこれか迷ったときは <意思決定の技術>
意思決定はなぜ必要か
ビジネスは意思決定の連続です。管理職ならなおさらですが、若手であっても当人に任されたいくつかの業務のうち、どれから手をつけるべきか、顧客に対してどのような営業アプローチを行なうかなど、日々、何らかの意思決定を行なっているはずです。より大きく捉えれば、自らの意思で生きることが人生である、という前提に立つなら、人生そのものが意思決定の集積物といえます。意思決定は特別な行為ではなく、ごく自然で日常的な行為であるため、誤った意思決定を行なわないようにするスキルを高めることはとても大切です。
意思決定の技法・手法
意思決定とは2つ以上の選択肢の中から、あるものを選択することです。たとえば新規事業の実施を検討することも、選択肢は1つではなく、行なう/行なわない、の2つの行為から一つを選ぶことに他なりません。
意思決定の思考プロセス
斎藤広達氏は「図解 サラリーマンの決定力講座」の中で、意思決定にあたっては、目的を明確にし、それを要素ごとに分解し、不確定要素は除外しつつ、分解された要素に優先順位をつける、と述べています。また、今井繁之氏は「問題解決のための思考力を鍛える」の中で、決定目的と決定事項の明確化、目標・条件の列挙、目標・条件の分類、重視するものの順位付け(WANTのウエイトづけ)、候補案の起案および評価、マイナス要素の検討を経て、最終決定を行うという手順を示しています。
意思決定のプロセスには、選ぶべき「選択肢」の明確化と、選ぶ根拠となる「判断軸」の設定が不可欠といえます。まず、選択肢はいわゆるMECE(漏れなくダブりのない状態)である必要があります。どの選択肢を選んでも目的を遂行できなかったり、選択肢同士の内容が重なり合っていれば、適切な選択が行なえないからです。
次に、判断軸の設定については、意思決定の目的から、満たすべき水準、目指すべき目標、意思決定の効果(メリット)を洗い出す必要があります。これらの要素をチェック項目としつつ、選択肢を吟味することとなります。
つまり、意思決定で最も重要なことは、真の目的を十分に見定めることです。これらの作業には原因分析と同様、高い論理力が求められます。